作曲を手がけた仕事から、印象に残っているものをご紹介します。 1996年に笛に出会って以降は、作曲だけでなく笛の演奏もした作品も少なくありません。(野田晴彦 記)
友人が作詞、ボクが作曲した「あんぐりー・ブギ」という歌をダメもとでNHKに売りこんだのが運良く採用されて、1982年8・9月の「みんなのうた」で放送されました。
それをきっかけにNHKの教育番組の音楽を作曲してみないか?というお話をいただき、さらに、テレビ・ラジオ番組、CM、ドラマ、舞台演劇などの音楽を手がける作曲家としての仕事が少しずつ広がって行きました。
オーストラリアの大自然をハイビジョン収録したこの番組も印象に残っています。試写室で見た映像のおどろくべき鮮烈さに感激して作曲した10曲ほどの背景音楽は、今でも頭の中で再現できます。
90年の放送開始から音楽を担当した番組。99年のリニューアルテーマ曲では作曲だけでなくリコーダー演奏もしました。ボクの笛が生まれて初めてTVで流れた記念すべき作品(嬉)!
ハワイ・マウナケア山頂の「すばる望遠鏡」の建設ドキュメンタリー映画「未知への航海」(U.N.リミテッド制作)のテーマ音楽。このとき、笛を始めて4年の私は作曲だけでなく、15人編成の弦楽オーケストラを指揮しながら、アイリッシュ・ウィスルを吹きました。
この映画が毎日映画賞を受賞。作曲者夫妻はハワイ島のすばる天文台に招待され、ヒロ市の教会でコンサートをしました。教会の古いスタインウェイのピアノの響きが忘れられません。
富士フイルム、明治製菓、LOTTE、森永、JR東海、ブリヂストン、ハウス食品、マクドナルド、NTT、大和証券、ピップ、アデランス、マクドナルド、ツムラ、ホーユー、西川ベッド、日本ペイント、大日本印刷、ヤクルト、カルビー、キューピーetc・・・かつてボクがCM音楽を作曲した企業(の一部)です。
80年代後半から90年代はじめくらいにかけてCM音楽をたくさん作曲してた頃。テレビを1時間見てたら少なくとも1回はボクが曲を書いたCMが流れるので、ミュージシャン仲間から「いよっ、CM王!」なんておちょくられてオゴらされてました(笑)。
思い出深いのは片岡鶴太郎さん&樹木希林さん出演のピップエレキバンのCMシリーズ。
スタジオでのレコーディングの合間に希林さんが「寺内貫太郎一家」などのドラマに出演してた時代の話とか聞かせてくれるのが毎回楽しみでした。竹中直人さんが歌ったアデランスの「増毛音頭」も愉快でした。
また、私たち笛パラDUOライブでおなじみの「Lovetime Ragtime」はハウス食品「レンジグルメ」CMのために90年に書いた曲。
ボクはまだ笛に出会ってない!CMではヴァイオリンがメロディを奏でたこの曲を、笛吹きになったボクがちっこいリコーダーで演奏してる・・なんだか不思議な気持ちがします!
宝塚歌劇「ベルサイユのばら」のオスカル役で一世を風靡した鳳蘭主演のミュージカル演劇。このテーマ曲は好評をいただいて、作曲家として最も印象に残る作品です。
大阪・近鉄劇場で上演された沢田研二主演の音楽劇「ザ・近松」の音楽監督を担当、劇中歌とお芝居全体の背景音楽を作曲しました。
「ザ・近松」は99年にも東京・日生劇場で再演され、このとき笛に出会ってまだ3年あまりのぼくは、演出家から「劇の作曲者がバックバンドに加わって笛を吹いたらおもしろいし現場も心強い」とオダてられ1ヶ月30公演、日比谷まで定期券買って毎日通勤、バンドメンバーとして笛を吹きました。
近松門左衛門の心中物作品をもとに再構成したこのお芝居、セリフも歌も大阪弁!ぼくは兵庫県宝塚市出身で大阪弁ネイティブ。
「歌」の作曲をする時はメロディーが大阪弁のイントネーションにならないよう(例えば、「山」なら「ヤ」が「マ」より高い音にならないよう)心がけています。が、この『ザ・近松』では、テーマ曲『恋の手本となりにけり』ほか、多くの劇中歌は、大阪弁のイントネーションを生かしたメロディーにしたのでした。
京都育ちの沢田さんと稽古場での公用語は大阪弁。
「野田さんの大阪弁の歌おもろいわあ!メロディーがめちゃ自然に大阪弁のイントネーションになってるネン」「こんどのCDに大阪弁の曲書いてくれへん?」ジュリーさんからじきじき(笑)の作曲オファーをいただいてできたのが95年リリースの『あんじょうやりや』。タイトルからしてもろ大阪弁や~!
女優・竹下景子の朗読劇。5人編成の「野田晴彦バンド」で出演・演奏。宝塚市ベガホールでの公演で、故郷に錦(笑)!
浅丘ルリ子主演のアガサ・クリスティ作品。高校生のころから大ファンだったルリ子さんに「先生(ボクのことです)の曲、素敵ね!」とホメてもらって舞い上がったボク。
テーマ曲「蜘蛛の巣JIG」は<笛パラ!!DUO>のレパートリーとしてもおなじみです。
主演の渡辺えりさんの天才的な演技が鮮やかに印象に残っています。音楽は私たち<笛パラ!!>DUOでレコーディング。